中小企業庁は2026年10月7日、「デジタル化・AI導入補助金2026」(旧:IT導入補助金)の4次締切分の採択結果を公表しました。申請5,398者のうち、採択は2,446者です。また補助金の事務局は10月9日、12月1日締切の「第7次公募回」から申請の要件を変えると告知しています。
この記事では、公式の発表をもとに、中小企業の経営者がいま知っておくべきことと、明日やることを整理します。
このニュースの要点
- 4次締切の採択は、申請5,398者のうち2,446者(中小企業庁、2026年10月7日)
- 通常枠などの次の締切(6次)は2026年10月30日(金)17:00。ただし申請には事前の手続きが必要で、これから準備を始める会社は間に合わない可能性が高い
- その次の7次締切は2026年12月1日(火)17:00。第7次公募回からは、1人当たり給与支給総額(賃上げ)に関する申請要件が追加される
デジタル化・AI導入補助金とは
中小企業・小規模事業者の労働生産性を上げることを目的に、業務の効率化やDXのためのITツール(ソフトウェア・クラウドサービスなど)の導入費用の一部を補助する制度です。2025年までの「IT導入補助金」が名前を変えたものです。
押さえておきたい仕組みは2つです。
- 補助の対象になるのは、事前に事務局の審査を受けて登録されているITツールだけです
- 申請は自社だけではできず、事務局に登録された「IT導入支援事業者」と組んで行います
(いずれも、複数の事業者が連携して申請する「複数者連携デジタル化・AI導入枠」を除きます)
4次締切の採択結果(2026年10月7日発表)
4次締切(公募は2026年8月25日まで)の結果は次のとおりです。
| 申請枠 | 申請数 | 採択数 |
|---|---|---|
| 通常枠 | 1,836者 | 816者 |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | 3,536者 | 1,610者 |
| セキュリティ対策推進枠 | 22者 | 16者 |
| 複数者連携デジタル化・AI導入枠(2次締切) | 4者 | 4者 |
| 合計 | 5,398者 | 2,446者 |
この数字から計算すると、採択されたのは全体で約45%、通常枠では約44%です(割合は当社で計算)。申請すれば通る補助金ではない、と考えておくのが安全です。
次の締切と、第7次公募回からの変更点
6次締切は10月30日(金)、7次締切は12月1日(火)
事務局の事業スケジュール(通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠)は次のとおりです。
| 締切回 | 締切日 | 交付決定日(予定) | 事業実施・実績報告の期限(予定) |
|---|---|---|---|
| 6次 | 2026年10月30日(金)17:00 | 2026年12月10日(木) | 2027年5月31日(月)17:00 |
| 7次 | 2026年12月1日(火)17:00 | 2027年1月19日(火) | 2027年7月30日(金)17:00 |
※複数者連携デジタル化・AI導入枠は回の数え方が異なります(10月30日締切は同枠の3次締切)。
ただし、どの申請枠でも、申請の前に次の2つが必要です。
- GビズIDプライムの取得(発行までおおむね2週間)
- IPAの「SECURITY ACTION」の宣言(宣言済みのアカウントIDの発行までおおむね2〜3日)
まだGビズIDプライムを持っていない会社は、日数の上で6次には間に合わない可能性が高いです。無理に急ぐより、7次(12月1日締切)に向けて準備するほうが現実的です。いまからGビズIDプライムを申請しても、日数の上では間に合います。
第7次公募回から変わること
事務局は2026年10月9日に、第7次公募回から次の変更を行うと告知しました。
- 通常枠:地域別最低賃金の改定(令和8年度)にともない、補助率の引き上げに関する要件を変更
- 通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠:1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)の向上に関する申請要件を追加
- 通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠:地域別最低賃金の改定にともない、加点項目の要件を変更
具体的な条件は、2026年10月9日に公開された第7回公募以降の公募要領・交付規程に書かれています。賃上げが申請の条件に入るため、補助金を使うかどうかを、人件費の計画とあわせて判断する必要が出てきます。
「AI」の名前が付いていても、汎用ツールだけでは申請できない
補助金の名前に「AI」と入っていますが、どんなAIツールでも対象になるわけではありません。通常枠の要件は次のとおりです。
- 顧客対応・販売支援、会計・財務、在庫・物流、人事・給与など、業務プロセスを1種類以上持つソフトウェアを申請すること
- 業種や業務が限られない汎用・自動化・分析ツールは、それ単体では申請できない
| 項目 | 通常枠の内容 |
|---|---|
| 補助率 | 1/2以内(条件を満たす場合は2/3以内) |
| 補助額 | 1プロセス以上:5万円以上150万円未満 4プロセス以上:150万円以上450万円以下 |
| 対象になる経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、機能拡張などのオプション、導入・活用コンサルティング、導入設定・マニュアル設定・導入研修、保守サポート |
AIの機能が付いていても、業務プロセスを持つ登録ツールでなければ対象になりません。「AIを使いたいから補助金を探す」のではなく、「受発注」「顧客対応」「請求」など、どの業務を減らしたいかから考えて、その業務のツールが登録されているかを探す順番になります。
経営者が明日やること
- 減らしたい業務を1つ決める:「見積書づくりに毎週3時間かかっている」(例)など、時間や件数で言える業務を1つ選びます
- GビズIDプライムを持っているか確認する:持っていなければ、発行に約2週間かかるので早めに申請しておきます。SECURITY ACTIONの宣言もあわせて済ませておきます
- 登録ツールを探す:補助金のホームページの「ITツール検索」で、1.の業務に使えるツールが登録されているかを確認します
そのうえで、第7次公募回の公募要領で賃上げの要件を確認し、満たせるかを見てから、申請するかどうかを決めましょう。
KIZNAの見方
補助金は、ツールを入れる費用の一部を助けてくれますが、入れたツールが社内で使われるかどうかまでは助けてくれません。採択率が5割を切る中で、時間をかけて申請し、導入したのに使われない、というのが一番もったいない結果です。
まずは補助金を使わずに、今ある業務の中で小さくAIを試し、「この業務なら効果が出る」とわかってから、補助金の対象になるツールで本格的に導入する。この順番なら、補助金の申請書に書く「導入の効果」も具体的になります。
※本記事は2026年10月27日時点の公表情報をもとにしています。申請を検討する際は、必ず最新の公募要領と公式サイトをご確認ください。補助金の対象になるか、採択されるかを当社がお約束するものではありません。
出典
- 中小企業庁(ミラサポplus)「【補助金採択結果】デジタル化・AI導入補助金2026の補助事業者を採択」2026年10月7日 https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/33237/
- デジタル化・AI導入補助金2026 事務局「第7次公募回以降における制度変更のお知らせ」2026年10月9日 https://it-shien.smrj.go.jp/news/40124
- 同「事業スケジュール」 https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/
- 同「通常枠」 https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/
- 同「申請を行う前に必要な手続き」 https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/measures/
- 同「制度概要」 https://it-shien.smrj.go.jp/about/
(いずれも2026年10月27日に確認)